自己破産することで運転免許は剥奪されるのか?
- 「自己破産すると運転免許は失効する?」
- 「自己破産しても運転免許は取られない!?」
自己破産すると運転免許は失効する?借金をチャラにしてもらえる代わりに、めぼしい財産や資産を没収されてしまうため、自動車ローンが残った車や、市場価値が20万円以上の車は没収対象です。
そのため、自己破産すると運転免許も失効すると思われる方が多いようです。
しかし、自己破産は国が作った借金問題を法的に解決する手続きである「債務整理」の一つであり、決して罪ではありません。
したがって、自己破産したからといって、運転免許を失効することはないのです。
ただし、自己破産にはいくつかのデメリットがあります。
そこで今回は、自己破産が運転免許に与える影響や、自己破産のデメリットについて解説しますので、ぜひ正しい知識を身につけてください。
そもそも自己破産とは
自己破産とは破産と免責という2つの手続きを行うことで、借金をチャラにしてもらえる債務整理です。
「破産」とは申立て人の財産や資産を処分してお金に換えることで、債権者(お金を貸したクレジットカード会社・消費者金融・銀行など)に配当する手続きになります。
いっぽう、「免責」とは裁判所に借金が「支払い不能状態」であると認められることで、借金を免除してもらえる手続きです。
自己破産の詳細はこちら
家族に秘密で自己破産はできる?
自己破産すると運転免許はどうなるのか
では、自己破産すると運転免許を失効してしまうのか説明します。
自己破産が運転免許に与える影響
結論から言うと、自己破産しても運転免許を失効することはありません。
また、運転免許以外の資格に関しても一時的に制限を受ける場合はありますが(詳しくは後述)、失効したりはく奪されたりするようなことはないのです。
運転免許証は身分証明書としてさまざまなシーンで提示を求められるため、普段車の運転をしない方でも携帯している場合が多いと思います。
そして、運転免許証には住所氏名や本拠地といった情報以外にも犯罪履歴の有無が掲載されているため、「自己破産した事実も掲載されるのでは?」と思う方が多いのでしょう。
しかし、運転免許証は車の運転ができることを証明するものなので、自己破産したかどうかについては関係ありません。
そもそも自己破産は、国が公に認めた債務整理という制度なのです。
したがって、自己破産しても当然罪にはならないのです。
自己破産の手続き中に運転免許の取得は可能か?
よく、「自己破産すると教習所に通えなくなり、免許を取得できないのでは?」と思う方がいるようですが、自己破産の手続き中に免許を取得することは可能です。
自己破産したからといって、教習所に通うことや、運転免許取得試験を受験することが禁止されることはありません。
自己破産のデメリット
自己破産しても運転免許に影響がないことは分かってもらえたことでしょう。では、自己破産すると、実際にどのようなデメリットがあるか説明します。
自己破産すると車が没収される!?
自己破産すると、
・20万円以上の価値ある財産
・99万円以上の現金
といった目ぼしい財産が没収対象になります。
そのため、市場価格が20万円以上の車は自己破産すると没収対象になるのです。
ただし、市場価格が20万円以上の車であれば手元に残すことができますし、生活に必要な最低限の家具や家電や99万円以下の現金などは「自由財産」として手元に残すことが許されています。
自動車ローンが残っている車はどうなるのか?
自動車ローンの返済が残っている車は、たとえあなた名義だったとしても、ディーラーや自動車ローンを組んだローン会社に所有権が残ることになります。
通常、自動車ローンを組む際に結ぶ契約内には「所有権留保」という条文が記載されており、自動車ローンを完済するまではディーラーやローン会社が車の所有者になると定められているのが普通です。
つまり、自動車ローンが残った車はあなたの所有物ではありません。
よって、自己破産すると引き上げられてしまうため、手元に残すことはできないのです。
自己破産すると車は引き上げられる?
信用情報に名前や住所が載ってしまう
自己破産すると、信用情報にあなたの名前や住所、自己破産した事実などが掲載されるため、5年~10年程度の期間は、クレジットカード会社や消費者金融、銀行などの貸金業者から新たに借り入れができなくなります。
これが、俗にいう「ブラックリストに載る」という状態です。
「信用情報」とは貸金業者と顧客の取引履歴や借入残高、返済履歴などが記録されたもので、ローンやクレジットの審査時には利用者の信用調査に使われています。
なお、ブラックリストに載る代表的なデメリットは、以下の通りです。
・クレジットカードの利用や新規発行ができなくなる
・ローンが組めなくなる(自動車ローンや住宅ローンなど)
・分割払い、リボ払いができなくなる(スマホ端末の分割購入など)
・キャッシングが使えなくなる
・ローンや奨学金の保証人になれなくなる
ブラックリストの詳細はこちら
一部資格が制限を受ける
自己破産の手続き中は一部資格の利用が制限されるため、以下のような仕事に就けなくなります。
・弁護士、司法書士
・行政書士
・公認会計士、税理士
・警備員
・質屋
・古物商
・生命保険外交員や損害保険代理店
・宅地建物取引主任者
上記のような仕事に就いている方は、自己破産の手続き中、「免責許可決定が確定するまで」仕事ができません。また、上記職業に転職することもできなくなります。
ただし、資格が制限されるのは破産手続き中の2~4か月程度になりますので、免責が確定すれば再び仕事ができるようになるので安心してください。
「住居の制限」を受ける
自己破産の手続き中は、自由に住居を移転することが制限されます。
つまり、自己破産の手続き中の引っ越しや海外出張(旅行)には、裁判所の許可が必要になるということです。
そのため、裁判所が許可すれば、自己破産の手続き中に引っ越ししたり海外出張したりすることができます。
「通信の秘密の制限」を受ける
破産手続き中は、あなた宛てに来るすべての郵便物が破産管財人にチェックされることになります。
なお、破産管財人とは、裁判所が選任する自己破産の手続きを指示・監督するスタッフのことです。
あなた宛てに来たすべての郵便物(宅配便を除く)は、破産管財人の元に転送され内容の確認が行われます。
これが自己破産における「通信の秘密の制限」と呼ばれるものです。
官報に載る
自己破産すると、政府が発行する「官報」と呼ばれる広報誌に申立人の住所・氏名や自己破産した事実などが掲載されてしまいます。
ただし、官報を一般の人が目にする機会はほとんどないため、知人や友人に自己破産したことがバレる可能性は非常に低いでしょう。
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破産者名簿に載る
自己破産すると申立人の本籍地を管轄する役所に通知が届き、「破産者名簿」にリストアップされます。
ただし、破産者名簿は一般公開されないため、自己破産したことが知人や友人にバレる可能性は低いでしょう。
また、本籍地ではなく、あなたが住んでいる住所の管理をしている役所には通知されません。
戸籍や住民票に自己破産の事実が載ることはない
よく「自己破産すると戸籍や住民票に載る……」と思われる方がいるのですが、完全に間違いです。
前述した、官報や破産者名簿には記載されますが、戸籍や住民票に自己破産したことが掲載されることは絶対にありません。
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